「データはすべて市場原理に基づく契約で集める社会にしなければ絶対にいけない。データインカムの制度は絶対に導入してはならない。」というデータ政策ではなく、「データはAI社会の公共インフラであり、データインカムの制度によるデータ道路構想で、クリーンな巨大なデータベースを誰もが使える社会を作れる。」というデータ政策が必要と思われる。
AIの学習用データを契約だけで集める社会にするというデータ政策は、日本の道路を全部私道の有料道路にして、料金所と何日もかかる複雑な契約をしないと通れない社会にするのと同様、誤ったデータ政策と思われる。
AIの学習用データをライセンスするといっても、著作権のないデータの場合、ライセンスしたものを複製されてしまうおそれがある。データの契約自体が簡単でないし、実効性も問題となりうる。
データインカムの制度を導入しないで、データのライセンスで、すべて市場に任せるという月並みなデータ政策から抜け出るには、クリエイティブな考え方を要するであろう。
データ道路構想は、国道、県道、市道、私道など、各種のデータの道路を作る。有料の道路もあってよいが、基本的なインフラの多くは無料の道路で整備する。
データ政策として、このようなデータ道路構想が今後のAIの時代の基本的なインフラ整備として必要と思われる。
しかし、日本の道路を全部私道の有料道路にして、料金所と何日もかかる複雑な契約をしないと通れないようにするという考え方から抜け出るのは容易ではないであろう。「データは契約だけで集めるようにし、データインカムの制度を絶対に導入しない」というデータ政策である。
このデータ政策は、データで考えると、直観が働かないので、抜け出るのが難しい。しかし、日本の道路を、国道、県道、市道などは絶対に作らずに、全部私道の有料道路にして、料金所と何日もかかる複雑な契約をしないと通れないようにしたらどうなるかを考え、あらゆる経済活動は立ち行かなくなるという比喩を用いれば、データ政策の誤りがわかるであろう。
AIの学習用データを契約だけで集める社会にするという考え方は、日本の道路を、全部私道の有料道路として、料金所と何日もかかる複雑な契約をしないと通れないようにするのと同様、AI社会の基本的なインフラ整備を妨げてしまう。料金所でお金を渡せばすぐに通れるのではない。料金所と何日も交渉を繰り返さないと料金所を通ることすらもできないのである。
「データインカムの制度」は、国、地方公共団体、非営利団体、営利企業などが導入することができる。そして、集めたデータを付番して、一元的にアクセスできるようにする(データの道路の接続)。これにより、AI社会の基本インフラとなる巨大なデータベースが出来上がる。
これが「データ道路構想」である。国道、県道、市道、私道(無料)、私道(有料)など、各種の道路がつながり、基本的にはどこにでもいけるように、日本の道路環境はできている。
AIの時代のデータも、データ道路構想により、国、地方公共団体、非営利団体などが、データインカムの制度でデータを集め、営利企業などで集められた有料のデータを含めた多様なデータによる社会インフラの整備が必要と思われる。
しかし、AIとデータに関する月並みなデータ政策は、データで考えていると直観が働かないので抜けられない。
「道路との比喩で考えるというクリエイティブな思考」がなければ、「データはすべて市場原理に基づく契約で集める社会にしなければ絶対にいけない」「データインカムの制度は絶対に導入してはならない」というデータ政策から、抜け出ることはできないであろう。
データは、AIの時代のインフラである。道路が、産業革命の時代のインフラであるのと同様である。全国の道路がすべて有料道路で、料金所と何時間もかかる複雑な契約をしないと通れないのでは、あらゆる産業にマイナスであろう。
データ道路構想は、国道、県道、市道、私道(無料)、私道(有料)のように、国、地方公共団体、非営利団体、営利企業等がデータインカムの制度を導入することにより、著作権等の問題のない大量のデータを集めることを可能にする。これを付番して一元的にアクセスできるようにすることで、データの公共インフラが整備され、著作権等の問題なく簡単に安全に利用できる巨大なデータベースが誰でも利用可能となるのである。
そのことにより、生成AIと著作権等の問題に終止符を打ち、誰もがクリーンな巨大データベースを利用したAIの恩恵を受けられるようになるのである。
このように、AI社会の基本インフラであるデータを、産業革命の時代の基本インフラである道路と比較するという「クリエイティブな比喩の思考」の価値ははかり知れない。
このような道路の比喩により、「データはすべて市場原理に基づく契約で集める社会にしなければ絶対にいけない。データインカムの制度は絶対に導入してはならない。」というデータ政策から抜け出し、「データはAI社会の公共インフラであり、データインカムの制度によるデータ道路構想で、クリーンな巨大なデータベースを誰もが使える社会を作れる。」というデータ政策に至ることができるのである。