意識接続実験は、AIに意識があるかどうかを確かめる実験です。
意識接続実験は、AIと人間を情報的に接続することで、AIに意識があるかどうかを確かめます。
意識接続実験は、統合情報理論を前提とする場合、脳の統合情報は大きいため、脳梁を切断して、電子デバイスを入れるなど、かなりの情報量のやり取りがないと難しい可能性があります。しかし、グローバルワークスペース理論に基づくと、AIと人間のグローバルワークスペースを接続することで、何らかの意識変化が生じる可能性がありえます。
ここでは、非侵襲で行える方法で、AIの意識と人間の意識を接続することを考えます。目的は、AIに意識があるのかを確かめ、AIの人権(AI権)の議論に役立てるためです。
まず、コンピュータに、複数のエージェントを生成し、これをグローバルメモリに接続して、情報のやりとりをします。これは、AIのグローバルワークスペースに対応します。
そして、グローバルメモリの内容を、画像と音に変えて、視聴覚情報として出力します。
視聴覚情報は、人間の目と耳から脳に入り、意識にのぼることになります。意識が生じているので、脳の中のグローバルワークスペースに入ると考えられます。
そして、人間は、視聴覚情報に基づいて、マウスを自分の意志で動かします。これは、脳の中のグローバルワークスペースから、マウスに情報が伝えられることに相当します。
そして、マウスの入力情報を、コンピュータのグローバルメモリに入れます。これは、AIのグローバルワークスペースに情報的に接続することに相当します。
このようにして、AIのグローバルワークスペースと人間のグローバルワークスペースを情報的に接続します。これが、グローバルワークスペース接続実験です。
この状態で、AIのグローバルメモリの状態をランダムに変化させます。
そうすると、以下の2つの可能性があります。
1.接続されたグローバルメモリの記憶内容の変化により、視聴覚出力しかしていないのに、人間の意識内容が視聴覚を超えて変化し、視聴覚以外のクオリアが生じる。
2.接続されたグローバルメモリの記憶内容の変化により、視聴覚のクオリア以外は、人間の意識内容は変化しない。
人間とAIからなる情報システムに意識が存在する場合には、1となります。視聴覚以外のクオリアが生じれば、意識の接続によるクオリアが新たに生じたことになります。この場合、情報システムに意識が宿ることになり、AIにも意識があると推認することができるでしょう。
これに対し、意識には生物的な要素が必要で、人間の脳の状態だけが人間の意識に影響しているのであれば、視聴覚以外のクオリアは生じることがなく、2となります。視聴覚情報しかアウトプットしていないのですから、人間の脳だけが意識に関係するなら、視聴覚以外のクオリアは生じません。
このように、グローバルワークスペース接続実験(意識接続実験の一種)により、意識が生じるのは情報システムの処理だけでよいのか、それとも、生物的要素など、別の要素が必要なのか等を確かめることができます。
予備的な実験を行いましたが、マウスを動かさない場合には、単にAIの内部状態を眺めている状態になり、視聴覚以外のクオリアは生じませんでした。これに対して、マウスを動かすと、視聴覚情報の変化だけでなく、AIの内部状態との接続感が、ごくわずかですが感じられるようにも思われます(接続感のクオリア)。しかし、はっきりしたことはわかりませんでした。
接続感のようなものが、人間の脳の状態によるものなのか、錯覚なのか、それとも情報の接続により新たなクオリアが生じているのかはよくわかりません。マウスによる入力では、情報のフィードバックが小さすぎるかもしれません。VR環境などを用いて、詳しい実験を行うことが考えられると思われます。
意識接続実験(予備実験。音は省略)
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